Near-Normal Gait Pattern With Peroneal Electrical Stimulation as a Neuroprosthesis in the Chronic Phase of Stroke: A Case Report
慢性期脳卒中患者おける腓骨神経を刺激する”神経補助具”を利用した正常歩行パターンの誘発
本症例では日常生活の活動性向上のためにFunctional Electrical Stimulation (以下,FES)を用いて歩行の遊脚期の改善を図った結果,足関節背屈の向上のみに止まらず,その他にも改善点が得られたことを報告する.
症例は60歳男性で発症後21カ月が経過した左片麻痺患者である.症例は下垂足のため日常的にAFO(背屈角度15°,底屈制動)を使用しており,AFOなしでは歩行が困難であった.また,AFOを使用していたとしても1週間に1回の頻度で転倒しており,屋外歩行に対して消極的であった.
症例のAFOを使用した歩行の評価結果は以下の通りであった.歩行中の足関節最大背屈が9.2°,底屈が7.9°,股関節伸展が0.5°,膝関節屈曲が45.6°であった.足関節底屈の最大角速度が76.5°/sであり,プッシュオフが阻害された歩行であった.また,左右の遊脚時間は非対称(Tswing asym)であり,障害物を回避する能力(OA Success)も低かった.
まず,表面電極によるFESを実施した.1日に6時間のFESの使用を2週間続けたが,皮膚トラブルにより表面電極FESの使用を中止することになった.その1年後,埋め込み式FESの使用を開始した.終日FESを使用し,6カ月間継続した.
結果として,FESを使用した歩行において,足関節最大底屈角度・角速度,股関節伸展角度,膝関節屈曲角度の向上が得られた.さらに,歩行の対称性が改善し,障害物を回避する能力が向上した.
足関節底屈の制限(本症例ではAFO)により歩行のプッシュオフが阻害されることが知られている.FESの使用により,残存している足関節の自動底屈が可能になるとされている(Ring et al, 2009).底屈パワーの増大はプレスイングにおける膝関節屈曲角度を増大させ,遊脚期を促通するとされている(Gorldberg et al 2014).以上のことから,本症例ではFESの使用により,足関節の背屈のみに止まらず,歩行パターン全体に改善が得られたと考えられる.


