Pulmonary rehabilitation following acute exacerbation of chronic obstructive pulmonary disease
(COPDの患者に対してエビデンスを適応する)
呼吸リハビリテーションはこの患者を助けることができるか?
ウィルソンさんは64歳の女性で、10年間COPDの既往があり、この4ヶ月で3回の急性増悪を繰り返している。急性増悪時は抗生物質や経口ステロイドを用いた治療介入を受けたが、彼女は入院することはなかった。3回目の急性増悪後、彼女は労作時に中等度の呼吸困難感を訴え、自宅で行っている運動療法が実施できなかった。一秒量は予測値の35%であった。機能障害は6分間歩行で385m(予測値497m)と運動耐応能の減少、労作時の適切な間隔での呼吸ができないといった呼吸障害、下肢筋力の減少、3L酸素投与下で労作時に86%まで酸素飽和度が低下するといったガス交換障害が含まれる。慢性呼吸器疾患質問表(CRQ)で以下のことが得られた。呼吸困難=13/35、倦怠感=18/28、情緒=35/49、自己コントロール感=17/28であった。彼女のゴールは活動耐久性の改善、さらなるCOPD急性増悪を防ぐこと、酸素飽和度を90%以上に保つこと、仕事復帰することである。
ウィルソンさんにコクラーンレビューの結果をどのように適応させるのか?
この文献に記述されているシステマティックレビューからのエビデンスを基にウィルソンさんと彼女の医師と理学療法士は外来呼吸リハビリテーションプログラムの適応となるとした。ウィルソンさんは週二回、監視下でのグループセッションを含んだ2時間の外来呼吸リハビリテーションプログラムを開始した。プログラムは18週間で持久力トレーニングと筋力増強訓練、柔軟運動を含んでいる。呼吸方法を指導しながらの階段昇降は追加された。ウィルソンさんは3L酸素で全ての運動を実施可能であった。
システマティックレビューによる内容をウィルソンさんに提供した結果はどうであったか?
18週間の最後に6分間歩行距離は442mに増加した。CRQは呼吸困難20/35、倦怠感20/28、情緒38/49、自己コントロール感22/28に改善していた。さらに全ての筋力が改善していた。ウィルソンさんはパートに戻るという目標を達成し、自宅歩行プログラムを再開した。彼女は入院しなかった。
このシステマティックレビューをあなたの患者に適応することは可能か?
このレビューの研究結果はCOPD急性増悪の患者に十分適応可能である。レビューの基準では入院や外来治療を受けた患者が含まれている。しかし、レビューの参加者は急性増悪時には入院治療を実施したということしかわからず、ウィルソンさんは入院せずに管理した。彼女の医療チームはレビューから得られた知見をウィルソンさんに適応させたことが妥当であるかをさらに検討する必要がある。彼女はレビューの参加者とは異なって、COPD増悪を一般的ではない外来で管理した患者であったが、それを理由にレビューから除外する強い理由とはならない。
このシステマティックレビューの結果をもとに助言することができることはなにか?
図で概説したような参加の説明に合わせた患者は入院、外来、自宅での持久力トレーニング、筋力増強訓練、患者指導を含めた呼吸リハビリテーションプログラムに利益があると考えられる。この研究やウィルソンさんを含む参加者に似て、急性増悪に対する呼吸リハビリテーションプログラムに従事する人々は健康関連QOLや運動耐応能の臨床的に意味のある改善を示すと思われる。最後に、呼吸リハビリテーションに従事する患者は将来的な入院機会や、4年3か月の期間にわたる死亡率を減少させるかもしれない。
アメリカ胸部学会はCOPDを以下のように定義した。気流制限を特徴とする予防可能で治療可能な疾患であるが、不可逆性である。気流制限は進行性で有害な粒子やガス、第一にタバコにより引き起こされる肺の病的な炎症反応に関連する。COPDは肺に影響を与えるが、全身性にも重要な影響を及ぼす。40歳以上の成人におけるCOPDの有病率は約10%である。COPDは死亡や動作障害の原因となり、その中でも急性増悪は入院や死亡の主な原因である。COPDの増悪は次のように定義されている。疾患の自然経過におけるイベントで、日内変動を超えて呼吸困難感、咳、痰が患者の基準が変化することを特徴とし、急性発症し、COPDに対する内服薬の変更を要する可能性がある。
呼吸リハビリテーションはCOPD患者の運動耐応能、身体機能、QOLの改善や呼吸困難感や疲労の減少に効果的であると示されている。呼吸リハビリテーションは多くの手法があるが、最低でも運動療法や患者教育を含まれることが通常である。他の介入は禁煙指導や呼吸筋トレーニング、気道クリアランステクニック、薬物管理、精神的サポートが含まれる。2006年のコクラーンシステマティックレビューに含まれる研究は最近のCOPDの増悪を除いた参加者しかないため、Puhanらは入院もしくは外来での治療が必要な最近のCOPD急性増悪患者における呼吸リハビリテーションの効果を決定するためのRCTのコクラーンレビュー追加を実施した。レビューでは呼吸リハビリテーション介入は少なくてもCOPD増悪から3週間以内にある程度の運動療法が含まれる必要があったとしている。主要評価項目はその後の入院である。副次評価項目として死亡率やQOL、運動耐応能を調査した。レビューの結果は図に示された通りである。
Take home message
Puhanらのコクラーンレビューによると呼吸リハビリテーションは入院の機会やCOPDの急性増悪による死亡率を減少させる効果があることを示した。COPD急性増悪に対する呼吸リハビリテーションは健康関連QOLや運動耐応能の改善を示すという結果も得た。COPD急性増悪に対する呼吸リハビリテーションの悪影響はこのレビューでは見つけられなかった。
呼吸リハビリテーションプログラムの目的は、身体活動を増加させること、喫煙を減少させること、上気道感染の初期症状を見つけることであり、それらを得るために患者の生活様式を指導するため、COPD急性増悪に対する呼吸リハビリテーションの利点として急性増悪時の苦痛に対する精神面の改善が関係している可能性がある。さらに、呼吸リハビリテーションプログラムに参加している患者は適切な薬の使用を促すことや症状の変化に対する注意に関して継続した治療を望んでいる。COPD急性増悪の呼吸リハビリテーションプログラムに参加することにおける潜在的な欠点は、重度の耐久性が低下している場合に臨床的で重要な改善を得るためにはよりゆっくりとした運動の進行や、より長いリハビリプロセスが必要になる可能性がある。COPD急性増悪後の呼吸リハビリテーションに関わる利益や限界を理解することは、患者それぞれが臨床的決断をする時に役に立つのである。


